全国の警察が2014年に把握した振り込め詐欺など「特殊詐欺」の被害額は13年より70億円近く増え、約559億4千万円に上ったことが29日、警察庁のまとめで分かった。年間500億円を超えたのは初めて。窃盗や横領などを含めた14年の財産犯被害のほぼ半分を占めた。警察庁は「極めて深刻な事態だ」として危機感を強めている。
特殊詐欺の被害額は統計を取り始めた04年は約283億8千万円だった。09年に約95億8千万円まで減った後、増加に転じ、12年には、それまで財産犯の中で被害額が最も多かった窃盗を上回った。14年は窃盗の3.2倍になった。
被害が目立つのが、レターパックや宅配便で現金を送らせる現金送付型で、14年の被害額は約212億1千万円となり、13年より81億1千万円増えた。高齢者が狙われる傾向は年々、エスカレートしており、被害者全体に占める65歳以上の割合は11年62.7%▽12年68.8%▽13年77.5%▽14年78.8%――と推移している。
警察が14年中に摘発した1990人のうち、グループのリーダー格は74人(3.7%)。摘発者数は増えているが、リーダー格の割合は12年は7.0%、13年は5.1%と低下傾向にある。
暴力団関係者が絡むケースも多く、警察庁は詐欺グループ壊滅のため、通信傍受などの手法を特殊詐欺にも適用する必要性を強調。法務省は刑事訴訟法や通信傍受法を改正する準備を始めた。
「振り込め詐欺」関与で摘発された少年、過去最多 去年1年間に全国の警察が振り込め詐欺に加担したとして摘発した少年は311人と、統計開始以来、過去最多となったことが警察庁のまとめで分かりました。
振り込め詐欺にかかわったとして逮捕・書類送検された少年は去年1年間で311人で、統計を取り始めた2009年に比べおよそ9倍で過去最多になったということです。摘発された311人のうち、7割に当たる220人が被害者の自宅などで金を受け取る「受け子」で、37人が「見張り役」、23人が「リクルーター」などとなっています。
警察庁の担当者は「『いいアルバイトがある』などと誘われて安易に遊ぶ金欲しさに加担している」としていて対策を急ぐ方針です。(26日11:38)