マインドコントロール(英: Mind control)は、強制によらず、さも自分の意思で選択したかのように、あらかじめ決められた結論へと誘導する技術、またその行為のこと[1]。
目次 [非表示] 1 概略 2 マインドコントロール理論の起源 3 「マインドコントロール」に利用される人間心理 4 マインド・コントロールの手法 5 洗脳との相違 6 宗教以外のカルト 7 類似する現象 8 マインドコントロール状態からの解放に関して 9 マインドコントロールの可能性 10 マインド・コントロール理論への批判的見解 10.1 信教の自由とマインドコントロール問題 11 マインド・コントロールをめぐる裁判 11.1 備考 12 関連項目 13 脚注 14 参考文献 15 外部リンク
概略[編集]
日本では、1992年の統一教会の合同結婚式に参加した山崎浩子が、翌1993年に婚約の解消と統一教会から脱会を表明した記者会見で、「マインドコントロールされていました。」と発言したことと、同日、発売された、元統一教会員のスティーヴン・ハッサン の『マインド・コントロールの恐怖』という本がベストセラーとなったことから、“マインドコントロール”という言葉が広く認知されるようになった[2] [3]。また、 サリンを使った無差別テロである地下鉄サリン事件は、オウム真理教という宗教団体の教祖の指示で行われたということ自体が衝撃であったが、その団体に多くの高学歴の青年たちが出家して所属していたこと、事件が明らかになってからも教団を離れない多くの信者の姿などが「マインドコントロール」というものの威力を印象づけるものとなった(もっとも後述する厳密な定義に従えば、オウム真理教事件の場合は、マインドコントロールと洗脳(ブレイン・ウォッシング)の双方を行っていた)。
「マインドコントロール」は教祖を絶対視し、反社会的な行動をするカルト的な宗教が、信者勧誘や信者管理のために、駆使する心理的手法として、その是非や有無を巡って議論を呼んでいる。日本では1994年に、社会心理学者の西田公昭が「マインドコントロール」に関する学術論文を発表したが、「マインドコントロール」が実在するかどうかは、現在心理学的にも医学的にも論争の対象となっている。但しマインドコントロールの手法の中に、違法となりうる手法が存在することには、最高裁判例もあり、裁判の実務上では争いがない[4]。
マインドコントロール理論の起源[編集]1970年代のアメリカでは、既成宗教とは異なった新興宗教、すなわち「カルト的教団」が出現し始めていた。そのような中、脱会者らの要請により人民寺院という教団の調査に立ち入ったレオ・ライアン下院議員(民主党選出)一行が教団の人間によって銃殺され、直後に教団幹部の指示により900人もの信者らが集団自殺を図るという悲劇的事件が起きた。 それを期に、信者たちの入信のプロセスを心理学者らが調べてゆくうちに、本人の自由な意思で入ったのではなく、外部からの影響力によって入信させられたのではないかという仮説が生まれ、それが「マインドコントロール理論」が生まれるきっかけとなったという。