:賄賂不正を招かない為の必要経費だが⇒賓欲強欲者には無意味経費!トホホ!
引用::: 黒猫のつぶやきJUON NETWORK
法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。
「初任給調整手当」は本当に必要か? 21:18:59 | 司法一般2010-02-12
本題に入ります。今回は裁判官の「初任給調整手当」の話です。
裁判官の給料は、一般職の国家公務員との均衡を考慮して、「裁判官の報酬等に関する法律」により定められており、具体的な金額(報酬月額)は以下のとおりです(なお、簡易裁判所判事の報酬月額は省略)。
最高裁判所長官 二、〇六五、〇〇〇円
最高裁判所判事 一、五〇七、〇〇〇円
東京高等裁判所長官 一、四四四、〇〇〇円
その他の高等裁判所長官 一、三三七、〇〇〇円
判事
一 号 一、二〇七、〇〇〇円
二 号 一、〇六三、〇〇〇円
三 号 九九一、〇〇〇円
四 号 八四〇、〇〇〇円
五 号 七二六、〇〇〇円
六 号 六五二、〇〇〇円
七 号 五九〇、〇〇〇円
八 号 五三一、〇〇〇円
判事補
一 号 四二九、五〇〇円
二 号 三九四、九〇〇円
三 号 三六九、五〇〇円
四 号 三四五、七〇〇円
五 号 三二二、二〇〇円
六 号 三〇六、四〇〇円
七 号 二八八、二〇〇円
八 号 二七七、六〇〇円
九 号 二五三、八〇〇円
十 号 二四四、八〇〇円
十一号 二三四、三〇〇円
十二号 二二七、〇〇〇円
そして、司法研修所を卒業して裁判官に任官した人は、十年間判事補として勤務し、その後に判事になるのが一般的であるため、上記の報酬表を見ると、裁判官の初任給は月額227,000円ということになりそうです。
しかし、判事補の給料については、最高裁判所規則で「裁判官の初任給調整手当に関する規則」(インターネットの検索では出てこない)が定められており、これにより判事補の給料が上乗せされています。この調整手当分を加算すると、判事補の給料は以下のとおりとなります(平成21年12月以降の金額、他の各種手当を除く)。
判事補
一 号 429,500円
二 号 394,900円
三 号 369,500円
四 号 ★345,700円
五 号 322,200円+★19,000円=341,200円
六 号 306,400円+30,900円=337,300円
七 号 288,200円+45,100円=333,300円
八 号 277,600円+51,100円=328,700円
九 号 253,800円+70,000円=323,800円
十 号 244,800円+75,100円=319,900円
十一号 234,300円+83,900円=318,200円
十二号 227,000円+★87,800円=★314,800円
なぜこのような制度が出来たかというと、新人弁護士の初任給の相場が年収600万円などと言われていた時代、裁判官の初任給が月収20万円台では任官希望者を確保することが困難であるため、新人弁護士の収入との均衡を図る観点から「当分の間」支給するとされたものです(制定は昭和46年、最終改正は平成元年。なお、検察官の報酬については、このような制度はありません)。
しかし、法曹人口の大幅増員に伴い、弁護士の初任給が年収600万円などという相場はとっくの昔に崩れ去っており、現在ではそれどころか、新人弁護士の多くは既存の法律事務所への就職も出来ず、いきなり独立して月収10万円にも満たない極貧生活を送っている弁護士や、サラ金に手を出して多重債務に陥っている弁護士もいるというのが現状です。
こうなってくると、もはや初任給調整手当は「判事補の初任給と新たに弁護士となる者の収入との★格差を埋める」(第143回国会法務委員会における最高裁の答弁)どころか、ただでさえ恵まれている判事補の初任給と新たに弁護士となる者の収入との格差をさらに★拡大する効果しか生んでいないように思われます。
法曹人口問題については、ようやく法務省で見直しのあり方について作業部会が設けられ今夏までに結論を出す予定とされているようですが、仮に法曹人口問題を現状のまま放置しておくのであれば、もはや初任給調整手当はその社会的役割を★終えたものとして、段階的に★廃止していくのが筋というものでしょう。
・・・まあ、今回の記事でいちいち現職の裁判官を★敵に回したくはないですが、このくらいのことは言っていかないと、裁判官出身者の多い法務官僚たちは、おそらく法曹人口問題について深刻に考えてくれないでしょうからね。