ひどい歯周病の薬として、一般的に売られているものは、実は一時的に炎症を抑える歯周病の薬で、根本的なひどい歯周病のための薬は現在までのところ、ありませんでした。というのも、ひどい歯周病は細菌によって引き起こされる病気と考えるのが定説で、細菌の塊であるプラークを、時間をかけた歯磨きなどで除去し、治療するのが一般的だったのです。
ところが最近になり、ひどい歯周病の原因が、実はカビのカンジダ菌が大きく関与していることが、わかってきました。ひどい歯周病の患者さんの歯茎や歯の表面組織にカンジダ菌やその胞子が侵入しており、プラークの大部分も実はカンジダ菌だったのです。
この事実を元に、歯周病嫌気性菌に抗菌力を発揮する抗生物質と抗カビ剤を、ひどい歯周病の薬として用いた治療法が出てきました。
ジスロマック(アジスロマイシン)は、1日1回2錠、3日間の服用で歯周病嫌気性菌に対して、強い抗菌力を発揮する抗生物質です。
ファゴザイトデリバリーという特殊な性質により、感染局所に非常に大量に集結し、より強く、長期的(7日~14日)に抗菌力を発揮します。
副作用が非常に少ない抗生物質であることも、特徴の一つです。
また、事前に歯科医院で歯垢や歯石を取っておいたほうが、より効果的です。
ファンギゾンシロップ(アムホテリシンBシロップ)は、元々はひどい歯周病の薬ではなく、体内の消化管にカンジダ菌(真菌)が増殖したときに使う薬です。
ただ、消化管からはほとんど吸収されないので、全身的な真菌感染症には効果がありません(ひどい歯周病の薬として使用するのには、その方が都合が良いのです)。
ひどい歯周病の薬と して使用する場合には、通常の歯磨きの後、ファンギゾンシロップを直接口にいれ、その状態で歯ブラシなどで口の中に満遍なくファンギゾンシロップを行き渡らせます。30分間うがいをしないで、そのままにした後、ファンギゾンシロップを飲み込みます(飲み込まなくても大丈夫ですが、飲み込んだほうが、より効果的です)。
効果は、ひどい歯周病の程度により個人差がありますが、大体1週間で歯茎に違いが出てきます。また事前に歯科医院で歯垢や歯石を取っておいたほうが、より効果的です。
ひどい歯周病の治療前
ひどい歯周病のため歯が揺れて、歯茎も常に腫れているとのことで、いらっしゃった方です。
かなり、ひどい歯周病でしたので、全体を治療する必要がありましたが、治療の一環として歯周病薬(ジスロマックとファンギゾンシロップ)を併用してみました。
また、奥歯がなくなったことによって、噛み合せが深くなってしまい、前歯、残った奥歯、共に噛み合せの負担が過度に掛かっている状態でした。 ひどい歯周病の薬による治療後(58歳男性)
ひどい歯周病の治療後
ひどい歯周病の処置をすべての歯と歯茎に施し、ブリッジタイプの差し歯で歯を繋ぎました。ややわかりにくいかも知れませんが、歯槽膿漏薬を併用したことにより、歯茎の状態は治療前よりかなり改善しています。
また、低くなってしまっていた全体の噛み合せを高くして、全体的に噛み合せを正常な高さに戻し 、差し歯によって安定した噛み合せの基本(犬歯誘導)の状態を作りましたので、前歯、奥歯、共に負担が掛からないバランスの取れた噛み合せになりました。
治療後は、歯槽膿漏薬の長期服用を避けるため、パーフェクトペリオホームケアを使用していただくことで、治療後も歯と歯茎の良い状態を長く保っています。
パーフェクトペリオについての詳細はこちらをご覧ください。 ひどい歯周病の薬による治療前(61歳女性)
ひどい歯周病の治療前
他の歯科医院で、「全部歯を抜歯して総入れ歯にする」と言われ、セカンドオピニオンを求めていらした方です。
診査の結果、お口全体でひどい歯周病が進んで、全体的な歯茎の腫れと出血が見られ、歯も何本も揺れているのが確認できました。
全体的な治療と共に、ジスロマックとファンギゾンシロップを併用してみました。
ひどい歯周病の治療後
一本ずつの歯を支えている歯槽骨の量が少なくて歯が揺れている部分を補うため、すべての歯をブリッジタイプの差し歯でつないで固定しています。残念ながら、数本は抜歯になりましたが、他の歯は抜かないで残せました。
全体的に歯周病の処置も行ったので、歯茎も健康になり出血もなくなりました。ジスロマックとファンギゾンシロップを併用したことにより、歯茎の状態は治療前よりかなり改善しました。
また、治療後は歯槽膿漏薬の長期服用を避けるため、パーフェクトペリオホームケアを使用していただくことで、治療後も歯と歯茎の良い状態を長く保っています。
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