舞鶴高1殺害、無罪確定へ…最高裁が上告棄却 2014年07月11日
裁判官5人全員一致の意見。記録が残る1978年以降、検察が★死刑を求刑した事件で、
最高裁で★無罪が確定するのは、2001年に広島市で家族3人が死亡した放火殺人事件に次いで★2件目。
「供述、誘導の可能性」
京都府舞鶴市で2008年5月、高校1年の小杉美穂さん(当時15歳)が殺害された事件で、殺人罪などに問われた中勝美被告(65)(別の窃盗事件で★服役中)の無罪が確定する。
最高裁第1小法廷(横田尤孝ともゆき裁判長)は8日の決定で
「被告を犯人とするには、★合理的な疑いが残る」とし、★逆転無罪を言い渡した2審・大阪高裁判決を支持。検察側の上告を棄却した。
中被告は、小杉さんの頭などを鈍器で何度も殴り、殺害したなどとして、09年4月に起訴された。犯行の直接的な証拠はなく、無罪を主張。1審・京都地裁判決は、〈1〉被害者の持ち物の色を説明した捜査段階の被告の供述は「秘密の暴露」に当たる〈2〉事件直前に被告と被害者が一緒にいたとの目撃証言がある――として有罪を言い渡した。
この日の決定は、高裁判決と同様、証拠提出された警察官の取り調べメモを検討し、「被告は長時間の取り調べの過程で、取調官の反応を見ながら小刻みに供述を続けた結果、被害者の持ち物の色にたどり着いたと見る余地がある」と指摘。
「取調官の★示唆や★誘導を受けた供述の可能性がある」と取り調べの問題点に言及し、秘密の暴露を否定した。
また、目撃証言についても、「取り調べを重ねるうちに被告の特徴と一致する方向で変遷しており、
警察の情報に影響された可能性がある」とし、「被告が犯人だと推認させる事実は★見いだしがたい」と判断した。
密室での取り調べの問題点を最高裁が指摘したことで、取り調べの録音・録画(可視化)の重要性が改めて示された形となった。
三浦守・最高検公判部長の話「誠に遺憾だが、最高裁の判断を★真摯しんしに受け止めたい」
2014年07月11日 Copyright © The Yomiuri Shimbun