【民法改正案】どう変わる? 契約ルール明快に 2014.8.26 21:28 (1/2ページ)
法相の諮問機関「法制審議会・民法(債権関係)部会」は26日、「国民に分かりやすい民法」を目指す民法改正の骨格を固めた。アパートの「敷金」返還や借金の時効など、国民にとって身近でありながら分かりにくかった契約ルールをシンプルで明快なものにしようとしている。120年ぶりの民法改正で、国民生活はどのように変わるのか。
敷金 返還義務が発生
アパートの賃貸契約が終了した際に借り主に戻ってくる「敷金」については、これまで民法上の規定がなかった。原案では「家賃などの担保」と定義。契約終了後に部屋を引き渡したとき返還義務が発生するとした。原状回復について、借り主は通常の使用による傷みや経年変化を修理しなくてよいことも明記され、トラブルが多い家主側との交渉の目安が示される。
日々の生活でできた畳のすれや日焼けなら、畳の張り替え代を請求されても敷金から払う必要はないと主張できそうだ。
連帯保証 個人は原則禁止
中小企業が融資を受ける際に求められる「連帯保証」。個人が保証人になることを原則的に禁止とした。ただし「貸し渋りを招く」などとする経済団体の意見を取り入れ、契約前に債務を履行する意思を表示した公正証書を作成すれば保証人になることができるようにした。さらに(1)経営者(2)株主(3)事業に従事する配偶者−はこれまで通り保証人になれる例外も認めた。
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東京弁護士会法制委員会副委員長で借金問題に詳しい岩田修一弁護士は「親戚や友人の頼みで安易に連帯保証人となったために多額の借金を背負い、自己破産や自殺に追い込まれるような悲劇を避ける効果がある」と評価する。
消滅時効 条件付け「5年」
未払い代金の時効については、「飲食店が1年」「医療費が3年」など職業ごとに異なる「短期消滅時効」が定められているが、これを「(未払い代金の取り立てを)できることを知ったときから5年」に統一「する。(未払い代金の取り立てを)できるときから10年」の原則は存続させる。
法定利率 5%から3%へ
また、低金利時代に対応し、借入金や損害賠償金に適用される法定利率を現行の年5%から3%へと引き下げる。これに加え、3年ごとに市場金利に応じて1%きざみで改定できる変動制を導入。シンプルさと合理性のバランスを取った。