辺野古移設 環境監視委員に寄付 受注業者から2人受領2015年10月20日 朝刊
米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古(へのこ)への移設計画で、周辺環境への影響を監視する国の有識者委員会メンバーのうち二人が就任決定後、移設関連事業を請け負った業者から寄付を受けていたことが分かった。いずれも「委員会での発言や判断に影響はない」と説明している。
共同通信の取材に受領を認めたのは、京都大の荒井修亮(のぶあき)教授(海洋生物環境学)と東大の茅根創(かやねはじめ)教授(サンゴ礁学)。沖縄防衛局が設置した「環境監視等委員会」委員への就任が決まった二〇一四年以降、環境調査などを受注した東京の業者から計千五十万円の寄付を受けたという。
建設環境コンサルタント「いであ」から八百万円を受け取った荒井氏は「委員になる前から寄付を受けていた。もらうこと自体は不適切ではなく、返還は考えていない」と説明。
海洋土木工事会社大手「五洋建設」から二百万円、建設コンサルタント「エコー」から五十万円を受領した茅根氏は「辺野古とは無関係の研究に対する寄付。委員会では厳しい目で検証している」と答えた。
また、委員を務める全国水産技術者協会の原武史理事長は〇八年、いであの代表取締役が理事長を務めるNPO法人「地球環境カレッジ」の理事に就任。その後、年約二百万円の報酬を受けているが「委員としての意見が報酬に左右されることはない」と述べた。
委員会はこれまで五回開かれ、ジュゴンやサンゴへの影響などについて協議した。沖縄防衛局関係者は「委員は専門分野や地域性などを勘案して選んだ。事前に(業者との)利害関係は確認していない」としている。
基地問題に詳しい沖縄国際大の前泊(まえどまり)博盛教授は「倫理観が疑われても仕方がない問題だ。研究費が不足している事情はあるにしても、慎重に対応すべきだ」と話した。