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過去の共謀罪法案、万引きなど軽犯罪まで対象

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過去の共謀罪法案、万引きなど軽犯罪まで対象 ニュースソクラ 12月4日(金)17時0分配信 morgueFile license テロ阻止で自民が主張する共謀罪とは

 パリ同時爆破テロを受け、自民党幹部が国内テロ対策に言及しはじめた。高村正彦副総裁は17日の党役員連絡会で、「共謀罪」の新設を含む「組織犯罪処罰法」の改正が必要との認識を示した。谷垣禎一幹事長も同日の記者会見で、同様の意見を明らかにした。なぜ自民党は「共謀罪」にこだわるのか。

▼ 共謀罪
 共謀罪とは、ある人物が特定の犯罪の謀議に関わっていた場合、たとえそれが実行行為を伴っていない段階でも、処罰対象になるという法案だ。
 アメリカやイギリスですでに存在しているほか、フランスやドイツなどでも結社罪という名前でほぼ同等の法律が存在している。 
 日本の場合、犯罪の準備である「予備」や事後段階の「未遂」などの罰則規定はあるが、計画段階に当たる「共謀」に該当するものは原則としてない。
 これは日本の刑事法が、現実に実行された犯罪行為を罰することを原則としているためだ。現状では共謀段階で処罰できるのは、爆発物取締法など一部の例外に限られている。
 来年5月に主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」が迫る中、テロ対策を未然に防ぐために「共謀罪」をはじめとする法整備を進めたい――これが自民党の「建前」だ。
 
▼ 三度の廃案
 しかし、「共謀罪」の立法という動きは、いまにはじまったことではない。
 日本政府は2003年から2005年にかけて、関連法案を三度にわたり提出したが、現行法体系との矛盾や処罰範囲の拡大が懸念され、いずれも廃案に終わっている。
 また、国会へ提出された法務省の法案は、600以上の犯罪に対して「共謀罪」を新設するという内容だったが、未遂では処罰されないはずの「建築物損壊罪」や「キセル・万引き」といった軽犯罪が含まれていたことで批判を集めた。 
 共謀罪がひとつの犯罪類型として定着している米国でも、犯罪組織が関与するテロ・強盗・殺人に限らず、マネーロンタリングやインサイダー事件といった、企業がらみの分野で適用されることが増えている。
 「共謀罪」は純粋なテロ対策といえるのか、という疑問も生じてくる。

▼ 国際条約
 日本は2000年12月に国連の「国際組織犯罪条約(パレルモ条約)」に署名している。この条約は、すべてのG8諸国を含む185の国と地域が参加しているが、日本は国内法の未整備により、いまだに締結に至っていない。
 法務省は早期の条約締結こそが「日本の責務」とする見解を示し、共謀罪をはじめとする法整備に前向きだ。
 日弁連は、日本の刑事法体系と矛盾するだけでなく、基本的人権の保障という観点からも問題だと指摘し、共謀罪に反対している。
 また、日本には「共謀共同正犯」や「予備罪」があり、未遂に至らない段階での取り締まりが可能なため、新たなに立法をせずとも国連条約の批准は可能とも主張している。  
 菅官房長官は17日の記者会見で、共謀罪については、これまでの国会審議における懸念を考慮するべきだと、慎重な姿勢を強調した。
  萩生田光一副官房長官も22日に、改正処罰法の改正を含むテロ対策の再検討が必要との見方を示しつつも、来年の通常国会で関連法案を提出することは考えてないことを明らかにした。 
 共謀罪は、第一次安倍政権の2007年にも検討されたが、具体化しなかったという経緯もある。果たして、自民党の「本音」はどこにあるのだろうか。

ソクラ編集部  【関連記事】 最終更新:12月4日(金)17時0分

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