◆ 結果として、問題のしんにょうが含まれていた「謎(なぞ)」「遜(へりくだ-る)」「遡(さかのぼ-る)」の3文字は、「二点しんにょう」のまま新常用漢字表に追加されることになりました。つまり、「常用漢字は一点しんにょうが正しい」という原則に例外が生まれてしまったのです。
◆その主な理由は、PCなどの情報面にあるといわれています。つまり、これらの漢字が常用漢字に追加される前に作られた文字のフォントが広く普及しているため、今から「一点しんにょう」を正式な字体にすると対応が面倒だと考えられたのです。
ただし、原則は「常用漢字は一点しんにょうが正しい」なので、現在これらの3文字については特例として「二点しんにょうと一点しんにょうのどちらも正しい」として教えられることが多いようです。
◆補足:「しんにょう(しんにゅう・之繞)」の字形について
日本で一般的に用いられている「書き順(筆順)」「書き方」の紹介・解説です。ここでは、「しんにょう(しんにゅう・之繞)」の字形について解説いたします。
「しんにょう」の字形には下記の2つがあります。
この字形の違いは、点の数だけではありません。
明朝体では違いがないのですが、一般的な筆写に近い楷書体などでは、「しんにょう」の二画目、「二点しんにょう」の三画目の形状が異なります。
「二点しんにょう」の三画目の形状は「フ」の形状が正しい字形となります。
「しんにょう」の二画目は、「二点しんにょう」の二つ目の点と、その後の一画「フ」が一体化したもので、独特の“くねった形状”を呈しています。これを下記に示します。
しんにょう一般的な
二点しんにょう
正しい
二点しんにょう
「しんにょう」を字形に含む漢字の多くでは、点が一つで、二画目がくねった「しんにょう」が用いられています。
この字形は一般的な「しんにょう」ですが、いつしか「しんにょう」の基本的な字形とされてしまい、「二点しんにょう」は「しんにょう」の字形に点を加えたデザインとなり、「二点しんにょう」の三画目が「しんにょう」の二画目に倣った形状、つまり、“くねった形状”となっていることが少なからずあるようです。
当ホームページで紹介している筆順アニメーションの原型としている楷書体フォントの「二点しんにょう」も三画目が“くねった字形”となっておりますが、本来は上記に示したように三画目の形状を「フ」とする「二点しんにょう」が正しい字形となります。
当ホームページの収録文字数が多いため、楷書体フォントの字形を基本に筆順解説アニメーションを作成しております。ご了承ください。